阿古蛇形と二十四間の仕立て
この兜にはいくつもの特別な技術が注がれていますが、その中でも特に秀でた特徴は「兜鉢」にあります。
鉢の形状をあらわす「阿古蛇形兜(あこだなりかぶと)」の仕立て。
室町時代前後の兜鉢の形状を指し、阿古陀瓜という植物の形状が由来。実正はこれを極小のサイズで再現します。
鉄板を短冊状に細く切り、赤く熱して冷まし金槌で1000回ほど叩く。この工程を繰り返し徐々に一枚の湾曲した形状にしてゆく。
そうしてできた二十四枚の板を並べ重ねて、気の遠くなる作業の果てに「阿古蛇形」となります。
鉢の形状に湾曲した細い板を並べたからと言って、このような綺麗な形にはそうそうなるものではありません。
実正のやっていることは、ほかのどの作家もできない技術なのです。